12 Jul, 2022 0
<p>メソポタミアが、世界初で唯一の文明の歴史へといざなってくれます。少なくとも4000年前から今も「ナン」(パン)や「カバブ」(ケバブ)といった言葉が使われているこの地域では、連なり合った数多の文明が残した比類のない歴史や文化を体験することができます。世界最古の神殿や農業革命の最初の一歩が踏み出されたこの地域には、有史以前から現代まで人類の祖先の足跡をたどることができる場所が多くあります。文明は、村から町へ、そして帝国へと移り変わり、多くの軌跡を残しました。そんな地域をめぐり歩くと、一歩踏み出すたびに博物館にいるかのように感じます。動物が初めて家畜化され、初の文字文明が興ったこの叙事詩のような地には、3000年もの間使われてきた交易路が随所にあります。</p>
<p>何千年も昔の物語を今知ることができるのはなぜでしょうか?旅行記や伝説からもわかりますが、考古学的な発掘がその最大の役割を果たしています。この地域の発掘は、博物館や国内外の学者の主導で行われています。省庁の許可を得てする発掘もあれば、出土品を守るための発掘もあります。夏にこの地域に来ると、多くの遺跡で発掘が行われているのをじかに見ることができます。考古学者たちが土の層をそれは丁寧に運び、出土品を発見し、記録するさまを目の当たりにすれば、皆さんもこの物語の一部になることができます。</p>
<p>トルコに限らずヨーロッパとしても半乾燥気候地帯の植物がある唯一の地域メソポタミアは、鳥やチョウの観察をはじめ、多くの自然ツーリストにとっても理想的な地で、そこに生息する鳥や植物の種類はヨーロッパとトルコのほかの地域とは全くちがい、草原の種類は世界でも特に豊かです。メソポタミアを潤すユーフラテス川は、広大な鳥の生息地です。自然観察がお好きなら、草原をかけるガゼルやホオアカトキなど、何百という種類の動物に会うことができます。自然や動植物と溶け合う忘れられない休暇を過ごしにメソポタミアを訪れましょう。</p>
<p>メソポタミアの豊かな文化を洗練させた様々な製品が皆さんを待っています。何千年もの歴史を感じつつ、市場で手工芸品、乾燥・生のフルーツやナッツ、ほかにもいろいろな品物を楽しみ、旅の終わりに手作りの真珠母製品、絹織物、地域の新鮮な野菜から作ったピクルスの容器をお土産に買うことができます。ご自身だけでなく、お友達やお隣さんにも、スーツに入りきれないほどのお土産を買うのもいいでしょう。</p>
<p>1940年にラマン山地で石油が見つかるまで、イルフという小さな村だったバトマンは、その後急速に発展し、1990年にトルコの72番目の県になりました。史料では、エイルフまたはエイルヒと呼ばれているイルフ村は、平野の中心にある丘の斜面と上に築かれました。イルフ丘がある領域ではシュメール人の町が見つかっていますが、湿地の上に築かれているので、時とともに地下に埋もれたと考えられています。</p>...
<p>何千年にもわたり訪れる人をもてなす様々な文化で磨かれた「肥沃な三日月地帯」の食文化は、そうした様々な文化の跡を見せてくれる案内人のようです。この地で生まれた独自の料理はおびただしい数にのぼります。世界最古の集落だった地域で収穫する麦、ハーブ、そしてラム肉の料理などもその例です。麦やラム肉は地域の豊かさを、ハーブはかつての交易路の面影を浮き彫りにしています。ガーズィアンテップだけでも、公式に登録された地域料理は、バクラヴァやラフマージュンなど391種類あります。</p>
<p>数々の宗教が生まれ、ひそみ、流布した無二の地域であるアナトリアとメソポタミアには、古代も現代も、多神教から一神教まであらゆる宗教の歴史の跡があります。世界初の神殿ギョベクリテペ、聖地とされたネムルート山に築かれた神殿、キリスト教が公認された最古の社会スルヤーニ人の比類のない修道院、聖書が書き直された場所とされるルムカレなど、原初から今までの人類の精神的探究をこの地で味わうことができます。</p>
<p>どの時代にも数知れない文明が栄えたメソポタミアで何百年、何千年にもわたり語り継がれてきた伝説の数々が、その軌跡にふさわしい彩り豊かな物語を秘めています。人々が世代から世代へと伝えてきた伝説の英雄は、どこかなじみのある人間たちです。メソポタミアのいにしえの大地で育ったこの英雄たちは、この文化の彩りや言葉をその物語に添えています。メモ・ジンやゼンビルフィロシュなど、この地で培われた愛や神聖性、抑圧に耐えた預言者イブラヒム(アブラハム)の正義と公正のための闘いは、試練に満ちた一生に意味を求める人類にとってのまばゆい光になりました。ディヤルバクルの川、エイル城で生まれた伝説、修道院の神秘的な雰囲気、マルディンのベヤズス川、ラヴァンダ城、クズル・チャムの友情の物語は、今でも人々の道を照らし出してくれます。</p>
<p>遠くから眺めると、肥沃なメソポタミア平原の石のネックレスのような町です。その叡知は様々な民族や宗教を抱擁し、共存させ、その狭い路地は歴史があふれ、訪れる人は時が止まったかのように感じます。ワシの巣を思わせる、イーワーン状の石の家は、険しい岩場にそびえ立つマルディン城の斜面に築かれ、段々状に高くなっており、おとぎ話の世界のようです。どの時代にも実に多様な文明が栄え、それぞれの文明の遺産を守り続けるマルディンを訪れると、「生きた歴史」を肌で感じます。</p>...